2018年07月16日

防災省設置の提言を支持します 後編

前回からの続きです。

これまでの話は【前篇】【中編】をご覧ください。


さて、なまくら提案の「防災環境省」ですが、防災部門の職員や予算、権限などは、他省庁から移管されることになります。

当然ながら、内閣府の防災担当部署は防災環境省に移管となります。

また、国土交通省の水管理・国土保全局についても、大部分が移管されることになるでしょう。
特に、治水課、防災課、砂防部は堤防やダムをはじめ、砂防ダムなど各種土砂災害防止施設の整備・管理を司っており、ハード部門の主軸としてなくてはならない部署です。
そして、全国に約1万人が隊員登録しているTEC-FORCE(テック・フォース:緊急災害対策派遣隊)は、災害時の実働部隊として欠かせない存在です。

気象庁は現在、国交省の外局という位置づけですが、防災に必要な一次情報として気象や地震に関するデータは無くてはならないものであるので、これも当然、防災環境省の外局に所管替えします。

農林水産省も無関係ではありません。
農林振興局の防災課地すべり対策事業を行っており、国土交通省の砂防部とともに防災環境省に移管・統合することで、縦割りの弊害を無くし、効率的な施策が実行できるようになります。
同じく、農林振興局や水産庁が所管している海岸事業も、津波や高潮から国土を守る防潮堤や護岸、海岸浸食から国土を守る離岸堤や突堤など、国土交通省の海岸事業とともに移管・統合することが可能です。
そして、ため池や農業用ダム。これらについても、国交省所管の治水ダムや多目的ダムと一緒に管理することができるかもしれませんね。
また、最近はあまり注目されていないけれども、古来から洪水より多くの人々を苦しめてきた「渇水」への備えとして重要であることから、やはり移管するにこしたことはありません。

農水省の外局である水産庁の事業も、前述した海岸事業の他に、漁港の防災事業(漁港の堤防を粘り強い構造にするなどの改良)は国交省所管の港湾の防災事業と一元化することができるでしょう。

同じく外局の林野庁の事業では、治山事業や海岸防災林の事業が対象となります。
例えば治山ダムは砂防ダムと見た目や役割がほぼ同じと看做して良いでしょうから、防災環境省に移管・統合すべき事業となるでしょう。

文部科学省は、学校等の耐震化事業などが移管の対象になるでしょうし、防災教育の企画・立案なども移管するのが望ましいでしょう。
また、地震・防災研究課が行っている各種の研究も移管し、気象庁の研究陣とタッグを組ませることで、より成果が出やすくなるのではないでしょうか。

厚生労働省はDMAT(ディーマット:災害派遣医療チーム)を組織するなど、災害時医療を所管しますが、専門性が特に高く、通常医療と所管を分けることで逆に効率が悪くなるおそれがあることから、厚労省はそのままでも良いかも知れません。

総務省は、防災行政無線など、非常時通信網について所管しています。
これも専門性が高い業務ですが、政策立案部門だけ総務省から切離し、技術部隊は総務省に残すのも一案です。

総務省外局の消防庁は、防災環境省に移管すべき組織でしょう。
TEC--FORCEと統合し、発災時の現場スペシャリストとして活躍することを期待します。

経済産業省は、BCP(事業継続計画)を所管しています。
馴染の薄い方も多いと思いますが、発災前に備えておくべきものや発災後にやるべきことを記載したBCPの策定は、東日本大震災時のサプライチェーン崩壊を機に、今や企業活動(農協や漁協などの組合組織も含む)の維持・早期復旧に欠かせないものとなりつつあります。
これを防災環境省に移管することも、重要であると考えます。


こうして見ると、外務省、防衛省、法務省、財務省、宮内庁を除く7省庁から、何らかの組織(外局から課まで)が防災環境省に移管できることが分かります。
当然、既存省庁は反発するでしょう。(特に権限や予算を大幅に失う国交省)
しかし、国土と国民の保護は国家の一大事です。
ここはぐっと堪えて、国民のためを思った組織改編を断行してほしいものです。
(その他の省庁に至っては、殆ど「おまけ業務」的な扱いをされているので、寧ろ切り離した方が良いと思います)


ところで、石破氏は防災省提案を総裁選のネタにするつもりのようですが、前にも書いたとおり、むしろ無かったのが不思議なくらいの省庁なのです。(国防を司るのが格下の防衛庁だったのと同じくらい)
細かい部分での意見の違いはあっても、防災専門の省を創るという大きな枠組みの部分は、争点にしないでほしいです。
というか、国土強靭化を政策目標の1つに掲げる安倍さんが、この部分で反対する、なんていうことはあり得ないと思うのですが・・・
そうないように祈ります。  


Posted by なまくら at 09:11Comments(0)政策一般

2018年07月12日

防災省設置の提言を支持します 中編

さて、前回の続きです。

なまくらが「防災省」ではなく、「防災専門の省庁」を創るべき、と書いたのには訳がありまして。

実は、省庁の数を増やして防災専門の省庁を創ろうとは思っていないのです。

昔、何かで読んだのですが、一人の人間が複数の人の意見に耳を傾けられるのは、せいぜい10人程度、と言われています。

現在、各省庁のトップとしての大臣の数は11人です。(他に「○○担当大臣」が何人か)

上記の説からすると、これ以上省庁の数を増やすのは、あまり好ましいことではないことが分かります。

となると、省庁再編ですが、現在の省庁は平成13年の中央省庁再編により誕生してからまだ17年しか経っておらず、ガラガラポンするには早すぎるため、小規模な再編に留めることが望ましいでしょう。

なまくらが想定するのは、ズバリ環境省と統合して「防災環境省」を設置する案です!

何故、環境省なのか。

1つは、環境省が災害廃棄物の取扱いについての所管省庁だからです。

今回の大災害を見ても分かるように、一たび災害が起きると、大量の災害廃棄物が発生します。
それをいかに迅速に処理するかが、のちの復興スピードを決めると言っても過言ではないのです。

故に、災害廃棄物処理と復旧・復興は密接に関わる事案であり、防災所管省庁がこの2つを兼ねることは意味があるのです。

また、環境省は外局に原子力規制委員会を設けています。

御存じのとおり、原子力規制委員会は東日本大震災とそれに伴う福島第一原発の事故を教訓に設立された機関であり、原発の設置・運転において、自然災害をはじめとする外力から安全性を保つために存在しています。

原発の防災を担当する省庁が防災全般を担当する、とても理にかなっているのではないでしょうか。


3つめの理由として、実務的な省庁として役に立ってほしいとの願いからです。

個人的な印象かもしれませんが、環境省って、「環境」を錦の御旗にして綺麗ごとばかり言う小姑みたいな組織、ていうイメージがあるんですよね。(環境省の職員の方、ごめんなさい)
日本がエネルギー安全保障上、重要と思われる石炭火力発電については「Co2が増えるからダメ!」、地熱発電についても「国立公園内だからダメ!」などと、何をするにも邪魔する組織としか思えないんですよね。

そんな環境小姑(失礼!)が防災という人命が関わる役割を持つことになったら・・・
人間、与えられた役割って、どんなに分不相応と思っていても、頑張っている内にこなせる様になっていたりするんですよね。

環境省の人たちだって、国の足を引っ張る為に入省した訳じゃないんだと思うんです。
防災という実務に携わることで、少しでも現実的な組織になってほしいという期待をこめて、敢えて両者の統合を提案します。


4つめの理由として、中央省庁の力関係のバランスを整える、という目的があります。

環境省の職員数は約千人、予算規模は5千億円にも満たないものです。
これが例えば国土交通省だと、職員数は約6万人、予算規模は4兆円、厚生労働省に至っては職員数は約3万人、予算規模はなんと30兆円です。

はっきり言って、他省の出先機関なみの権限しか無いのが環境省。
そのトップである大臣も、やはり地位は低いものです。
ほとんど、大臣1年生もしくは2年生のポストなのではないでしょうか?(1年生は「○○担当大臣」か?)

防災部門を加えることで、省としても、大臣ポストとしても、他省庁と肩を並べる存在にしてはどうかと思うのです。

あと、最後に裏の理由になりますが・・・







現在、マンモス官庁となっている国土交通省のトップは、公明党(創価学会)の出身です。
というか、自公連立となってからずっと、国交大臣の椅子は公明党のものではないでしょうか?

もし、「防災環境省」が誕生し、国交省の防災部門がそちらに移管されれば・・・

考えただけでワクテカものじゃないですかw


ということで、さらに続きます。  


Posted by なまくら at 23:01Comments(0)政策一般

2018年07月10日

防災省設置の提言を支持します 前編

先週末からの大雨で、広島県、岡山県、愛媛県を中心に甚大な被害が出ております。
犠牲になられた方々におかれては、深く哀悼の意を表しますとともに、被災された全ての方々が一日でも早く日常を取り戻せますよう、祈念いたします。

こうした中、ネットでは何かと評判の悪いこの方が、こんな提言をしています。


石破茂氏、「防災省」の創設主張 「自治体の体制整備に必要」

 自民党の石破茂元幹事長は8日、鳥取市で講演し、西日本豪雨災害を踏まえ、復興庁を改組して「防災省」を創設するべきだと主張した。内閣府の防災担当部局については、一定期間で入れ替わる他省庁の出向者で主に構成されていると指摘し「防災の文化が伝承されない。都道府県や市町村の体制を整備するために必要だ」と述べた。

(産経ニュースより)


「防災省」、良いではないですか。というか、この災害大国日本で、今まで無かったのが不思議なくらいです。

ところが、ネット上での評判はイマイチのよう。皆さん、ゲルの発言だからって、否定的に捉えすぎではないでしょうか?

>内閣府の防災担当部局については、一定期間で入れ替わる他省庁の出向者で主に構成されていると指摘し「防災の文化が伝承されない。都道府県や市町村の体制を整備するために必要だ」と述べた。

この部分については、全く同意です。
基本的に、内閣府は各省庁からの出向者で構成されており、数年で元の省庁に戻ってしまいます。
その為、継続して1つの政策を継承・発展させるということが他の省庁に比べて難しいのです。
また、複数の省庁にまたがる案件や比較的新しい政策課題などは、全部内閣府に押し付ける傾向があり、過度な負担が懸念されてもいるのです。

ネット上では、「自衛隊に任せれば良い」なんて発言もありますが、浅はかな意見と言う他ありません。

自衛隊は基本的には外敵から国を守るのが主任務です。
勿論、サバイバルに長け、自立して行動できることから、災害派遣にはうってつけなのですが、当初の設立趣旨からは外れていることを忘れてもらっては困ります。
災害派遣に人出が取られた結果、外敵の侵入を許してしまっては本末転倒なのです。

また、実は体力仕事には自信があっても、重機の動かし方などには不慣れな一面もあり、かえって地元の建設業者の方が効率的に復旧作業ができたりもするのです。
それに、現場で的確な指揮が出来る人間は、そういった経験や訓練を積んだ人間です。
あと、最も重要な点として、自衛隊は「発災後」に必要とされる人材であり、「発災前」には不要な人材なのです。すなわち、「災害を防ぐ」という意味での防災には、やはり自衛隊は不向きなのです。

以上のことをもって、なまくらは既存の組織ではなく、新たに防災専門の省庁を創るべきだと強く思うのです。
では、具体的にはどんな組織か?続きはまた後日。  


Posted by なまくら at 07:28Comments(0)政策一般