2014年08月23日

第1章 ポーツマス会議 11.小村の反撃

 このブログも随分放置してしまいました。その間にも、世間では台風や豪雨などの自然災害が猛威を振るっており、大勢の方が亡くなりました。心よりお悔やみ申し上げます。また、政府においては、国土強靭化の速やかな実行をお願いします。



 さて創作の方ですが、ポーツマス会議編もようやく終わらせる目途が付きましたので、再開です。最終更新から1年以上経過していたのですね(^_^;)

 また、ポーツマス会議編がやたら長くなってしまいましたので、過去の記事も章立てを変更しました。

 ポーツマス会議編はあと5,6回で終わると思います。第一次桂内閣が退陣するのは・・・あと10回くらい後でしょうか?

 それでは、再開です。


第1章 ポーツマス会議 11.小村の反撃



 「それは、貴国が強圧的な方法で我が国から奪い去った樺太を返還する意思がある、と解釈してよろしいか」

 「奪ったのではありません、条約によって国境を画定したものです」

 「我が国民の多くは奪われたものと考えております。貴国が我が国に行った侵略を悔い改め、謝罪の上で全島返還するとおっしゃるのであれば、我が国はこれ以上金銭の支払いを要求するつもりはありません」

 「サハリンは平和友好的な条約により、我が国の領土となった島であります。よって謝罪もしませんし、返還という言葉は馴染みません。ロシアは侵略国家ではない」

 むっとした表情でウィッテは応えたが、小村は平然とした口調で言い放った。

 「いいえ、侵略国家であります。現に東清鉄道、あれはれっきとした満州への侵略行為の証ではありませんか。ロシアが真に侵略国家でないとおっしゃるのであれば、東清鉄道は全線放棄すべきであります」

 「曲解するにも程がある!東清鉄道は侵略の為に造った鉄道ではない!ロシア極東地域の発展の為に必要だったもので、たまたま最短コースが清国領内を通っただけのこと。仮にこれがなければ、ウラジオストックを始めとする諸都市の発展は望めなかったでしょう。東清鉄道は、まさに極東地域の命綱なのです」

 「だが、他国の領土内にロシア管理下の鉄道があるのは、いかにも不自然であります。しかもそれが命綱ですと?更に、南部支線は極東地域の開発には何の関係もない筈です。やはりロシアは、満州を併合する意図が有った、と受け取られても仕方ないのではないですか?」

 詭弁だ、とウィッテは立ち上がった。

 「貴殿こそ、東清鉄道放棄を迫る意図は何だ!逆に、日本が東清鉄道を抑え込むことで、ロシア極東地域への侵略を企てているのではないか!?」

 「我が国にそのような意図はありません。東清鉄道も、何も全線日本に割譲せよとは申しておりません。南部支線は当初要求どおりハルビンまでの割譲を再要求するが、本線は清国に返還するか、国際共同管理とすべきだと申しておるのです。清国の鉄道管理能力等を鑑みれば、国際共同管理が最も妥当なところだと考えます。いずれにせよ、謝罪とその証としての東清鉄道放棄が受け入れられないのであれば、貴殿の提案に応じるわけにはまいりません」

 ウィッテは暫し拳を振るわせていたが、やがて冷静になったのか、再び椅子に腰を下ろして考え込んだのちに答えた。

 「皇帝陛下が同意なさるとは到底思えないが、本国に伝えましょう」

 こうして、この日は散会し、最終会議は明日に持ち越されることとなった。


同じカテゴリー(創作)の記事画像
第2章 日露戦の善後 3.鉄道王の来日
第2章 日露戦の善後 2.騒擾(2)
第1章 ポーツマス会議 6.秘密会議
第1章 ポーツマス会議 5.手詰まり
第1章 ポーツマス会議 1.会議開催
序章(1)
同じカテゴリー(創作)の記事
 第2章 日露戦の善後 3.鉄道王の来日 (2015-02-08 09:42)
 第2章 日露戦の善後 2.騒擾(2) (2015-01-03 08:19)
 第2章 日露戦の善後 1.騒擾(1) (2015-01-02 08:57)
 第1章の結びに代えて (2014-12-31 18:25)
 第1章 ポーツマス会議 18.最終会議 (2014-12-31 17:09)
 第1章 ポーツマス会議 17.ウィッテ陥落 (2014-12-30 12:20)

Posted by なまくら at 12:24│Comments(0)創作
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
第1章 ポーツマス会議 11.小村の反撃
    コメント(0)